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プロトタイプガイド 立山砂防の加藤4tGLと1t台車

今年ー2020年/第16回の記念エッチング板『立山砂防 加藤4tGL(+旧型1t台車)』について、プロトタイプの写真をご紹介いたします。
製作の参考にしていただければ幸いです。

■加藤4t 5-Tg-5
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▲1971年夏の千寿ヶ原の構内。この頃立山砂防の機関車はすでに酒井C19への世代交代が済んだあとで、加藤は実質最後の1台となった5-Tg-5(中央右手)がもっぱら千寿ヶ原構内の入換に充てられていた。背後のスイッチバックには前年に導入されたばかりの堀川工機5tDLの姿が見える。1971.7.19 P:片岡俊夫
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▲立山砂防工事事務所の旧庁舎を背に佇む5-Tg-5と1t台車 千寿ケ原 1973.9.29 P: 古川邦雄
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▲5-Tg-5の右側サイドビュー。この機体は数多のファンによって撮影された写真(おおむね1970年以降)がことごとく『全開』状態ばかりで、カウル留めも一部が失われている状態だったため、カウルは'60年代の間に破損ないし紛失してしまったのだろう。1971.7.28 P: 古川邦雄
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▲入換にいそしむ5-Tg-5のリアビュー。牽かれているのは’70年代まで使われていた旧型の2t積台車。1971.7.19 P:片岡俊夫
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▲廃車後、1980年より千寿ヶ原のスイッチバック入口の脇に屋根付きで静態保存となった。現役時代のキャブの標記(所属、管理番号、矢崎タコグラフのステッカー)を残して再塗装されており、カラーリングも現役時代通りの全身建設省グリーン+軸受・側台枠先端凹部が黒。ただしカウルとカウル留めは新たに作り直したノンオリジナル。背面の引き違い窓枠もおそらく新製。1984.7.28 P:中部浩佐
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▲当初の説明板。在籍期間は16年とのことだが、その後の北重5t機が軒並み30年以上使われたことからすると、思いのほか短命である。1984.7.28 P:中部浩佐
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▲1987~89年の間?に色が塗り直され、他の砂防の加藤製機関車では実績があるも5-Tg-5が現役時代に纏ったことはないと思われる黒い台枠に。キャブの所属・管理番号レタリングも失われたが、背面窓下のタコグラフのステッカーは残った。1989.7.27 P:中部浩佐
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▲1997年の立山砂防事務所の新庁舎落成を機に、保存場所がヤードから常願寺川河原の訓練線に到る途中の『トロッコ展示レーン』に移された。おそらくその際に再度手入れがなされ、ボンネットのカウルが取り外せないようにボルト固定となり、キャブ内の製造銘板とタコグラフのステッカーが消滅。当初は近隣で閉園した大川寺遊園の豆汽車と手をつなぐ形で保存されていた。2003.8.11 P:中部浩佐
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▲その後、背後の大川寺遊園の汽車がいつの間にか消え、アコーディオンカーテン式人車の改造による荷物車2輛(人車10、11)に置き換えられた。この人車の製造は1980年代前半のため、今の保存状態は現役時代には無い組合せである。なお、これら3輛は冬場の間は千寿ヶ原のヤードの車庫に引き上げられて屋内保管されているようだ。2020.7.4 P:中部浩佐
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▲5-Tg-5の運転台。2019.9.9 P:中部浩佐


★5-Tg-5 現役時代写真掲載のウェブページ 
津島軽便堂 立山砂防軌道1・4(1972.8.25/稼働)
http://tsushima-keibendo.a.la9.jp/tateyama/tateyama1.html
http://tsushima-keibendo.a.la9.jp/tateyama/tateyama4.html
津島軽便堂 railbus編  立山砂防軌道 R1・R3(1973.10.8~9/稼働)
http://tsushima-keibendo.a.la9.jp/tateyama/tateyama6.html
http://tsushima-keibendo.a.la9.jp/tateyama/tateyama8.html
くるまや軽便鉄道 立山砂防のこと その5(1973.8.24/稼働)
https://kurumayakeiben.wordpress.com/2020/08/29/立山砂防のこと その5/
老いて27000様の入換機コレクション(1974年・1976年撮影/稼働)
http://hamakaij22.web.fc2.com/switcher7.html  
鉄道写真家 岩堀春夫のblog(1975.10.7/庫内より引き出して撮影)
http://blog.livedoor.jp/nainen60/archives/70919304.html
つねぴょんの撮り鉄人生 立山礼讃4(1977.8.10/庫内にて休車状態)
http://blog.livedoor.jp/tsunechan1959-toritetsu/archives/5268927.html


■加藤4t 5-Tg-4
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▲5-Tg-4は、1971年時点ではすでに千寿ヶ原の側線に放置の身となっていた。キャブ前面の窓が目尻の垂れたような表情で、背面窓枠が外板の内側にあるのが5-Tg-5との違い。新造当初はグリーン一色だったが、末期は台枠が黒に変わっている。 1971.7.28 P: 古川邦雄
あと、キャブの背面窓下には建設省マーク(丸の右下隅に『建』の字)のレタリングがあった。〔岡本憲之『加藤製作所機関車図鑑』(イカロス出版)P.25/新井清彦『軽便探訪』(機芸出版社)P.187右下写真参照〕
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▲5-Tg-4を別角度から。背後でシートを被っているのは、やはりお払い箱となった加藤製4tGLの『Tg-2』。1971.7.19 P:片岡俊夫

●1t積台車
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▲長年にわたり砂防の隠れた主役だった旧型1t積台車。少なくとも1960年代から1990年代半ばに到るまでこのスタイルのものが使われ続けた。1枚目:1972.6.7 P:古川邦雄/2・3枚目カラー:1984.7.28 P:中部浩佐
なお、現在使われている1t台車も基本寸法は変わらないものの、軸受のベアリング化や留置ブレーキの装備など近代化が図られている。
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▲側板は2段式でかつ取り外し可能。このように下の1段だけ嵌めた状態での使用も多かった。牽引機は北陸重機製57-10-28。 1989.7.27 P:中部浩佐
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▲こうやって別のカラ台車を斜めに上積みしているのもよく見られた光景。牽引機は去年の祭板・54-10-59。左奥には緑一色塗り時代の加藤5-Tg-5保存機も見える。1984.7.28 P:中部浩佐
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▲こちらはなんと3段積み留置。1979夏 P:新井一雄
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▲真上から眺める生活物資満載の1t台車列車。牽引機は酒井のTld-652。1977.8.2 P:古川邦雄
 
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▲千寿ヶ原での生活物資積込の様子。時は移り、機関車も横づけする軽トラも変われど1t台車はそのまま… 1枚目:1971.7.19 P:片岡俊夫/2枚目:1989.7.27 P:中部浩佐
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▲1990年代初頭あたりから、側板の手穴位置が下半欠き取りに変ったものが現れはじめ、1990年代前半中にほぼ置き換わったようである。1991.9.5 P:中部浩佐
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▲軸受が三角形の1t台車は、木部の意匠の変更や連結補助のチェーンの追加といった変化を経て、最終的に2000年代前半まで存在し続けた。2003.8.11 P:中部浩佐
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▲砂防をリタイアして成田に来てからの姿だが、1t台車の床板・妻板内側のカラーリング参考。2007.5.3 P:中部浩佐
★成田で使われている台車の細部については、@jiro_a_rass さんのツイート も是非ご覧下さい。
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▲最後に、1t台車をベースとした特殊車輛の例をいくつか挙げておく。
これは半室キャブが付いたタイプで、現役時はビニール窓付きの幌をかけて使用していた模様。ブレーキレバーと1脚だけの固定座席という装備からして恐らく用途はカブースで、エアブレーキを装備した酒井C19の導入以前はこれが列車に併結されていたのかも知れない。撮影時点では、いかにも用済みという体で、富山地鉄立山駅の積換え側線に数珠繋ぎで留置されていた。加藤のGLが本線に出ていた時代を再現するなら、改造してこれを用意するのも一興だろう。1972.6.7 P:古川邦雄
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▲これは溶接列車(?)イイカゲンな屋根付きの方には酸素ボンベ、もう1台には発電機を積む。機関車は導入されたばかりの北陸重機製55-10-45。1981.9 P:新井一雄
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▲火薬輸送車(上)と薬剤散布車(下)。ともに1992.9.21 P:中部浩佐



by maruk-fes | 2020-09-20 04:39 | 記念製品(エッチング板)
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