今回の題材は、九州・熊本の内大臣(ないだいじん)森林鉄道で使われていたというディーゼル機関車で、熊本城に隣接する監物台(けんもつだい)樹木園に今も保存されている現車の実測寸法をベースに設計いたしました。 メーカーの『土佐造船鉄工所』は、全国各地の森林鉄道、中でも四国や九州に多くの機関車を送り込んだ『野村組工作所』の後身に当たる会社で、野村組の解散(昭和31/1956年)後もそのパテントに拠る機関車を製造した実績があります。銘板に『野村式ディーゼル機関車』と記されている所以です。 現在保存されている機体は、昭和36年に内大臣森林鉄道に導入、本線の廃止後は鴨猪谷支線に転じ、同線の廃止(昭和42/1967年頃)まで活躍したと推測されているもの。ボンネット側面や屋根形状などにやや近代的な意匠が見られるものの、両端の切れ上がった独特の形状の板台枠や、自動車のステアリングホイールと見紛うキャブ内のブレーキハンドルに“野村組”の特徴が色濃く表れています。 なお、土佐造船製の機関車は、熊本営林局管内では内大臣以外に綾森林鉄道、大口森林鉄道、宮之浦森林軌道(屋久島)に導入された記録があるそうですが、その全貌は依然明らかではないそうです。 製品のスケールはHO、ゲージは9mm。設計・製造はアルモデルにお願いしています。車体のみのエッチング板ですが、ぜひ皆様の創意工夫でお楽しみ下さい。 キットは9月30日の祭の会場にて販売致します。 会場頒布数量:200枚・価格:1枚3,500円です。 ▲製品状態のエッチング板。今回、台枠のディテールをより凝りたい方向けに、側台枠の縁取り部分に、お好みでリベットを裏面から押し出しで表現するためのパターンを設けています(外側ランナー部にはリベット打ちの練習用パターンも用意しました)。ケガキ針ないしは画鋲を片手に、気軽にリベット打ちをお楽しみいただけます。 また、おまけパーツには、昨年の『千頭/三塩の酒井3.5t』のキャブの追加バリエーションで、音水森林鉄道にいたL型車体機のキャブ部品(Hゴム前面窓、側扉、後妻板)を盛り込みました(キャブ本体は『千頭L』を使用。▼写真は使用作例)。 ▲アルモデルより発売の専用動力『アルパワーN-10.2S』。 WB:10.2mm、動輪径:φ5.2、モーターは0610サイズで、ギヤ比1:49.2の2段減速。動力本体以外に、エッチング抜きの飾りスポーク輪芯、ホワイトメタル製ヘッドライト5個、M1.2ビス(銀2mm長:上・下回り固定用、黒4mm長:他社品カプラー取付用)が付属します。 当日会場内のアルモデルのブースでお求めになれます(価格:4,900円+税)。 なお、素組みをする場合に、この動力セット以外で最低限必要なものは、排気管用のパイプ(φ0.8)とブレーキハンドル用の真鍮線(φ0.4)です。 ▲試作品をベースとした塗装仕上見本(製作:栗島松雄)。現在の保存機に準じたライトブルー仕上げです。現役当時の塗色は不明ですが、内大臣森林鉄道導入機の昭和36年撮影の写真では、濃い目の1色塗りで、キャブ側扉に白文字で『熊本營林局 矢部營林署』のレタリングが入っていました。 なお、他線区の導入機では、宮之浦森林軌道のものが『1台が薄い青、もう1台が緑だった』という証言があるそうです。 ●実物(監物台樹木園保存機)の写真 ★1983年5月撮影(P:西 裕之) ★2004年6月撮影(P:奥 清博) ![]() その後、園内の別の場所に移されて今日に到る。ライトブルーのままだが、ビームに黒、床板等に黄色が色差しされた。 ![]() ![]() ![]() ![]() ▲台枠右側後方に貼られている『野村式ディーゼル機関車』特許表示入りの製造銘板。製造は昭和36/1961年6月。 ![]() ▲保存機の説明板。搭載機関はいすゞDA-120。 ![]() ●参考リンク (熊本震災後の2017年夏撮影。機関車には地震そのものによる被害がないことが判る) (土佐造船製機関車の現役当時の写真〔内大臣/綾〕を掲載) ●ディテールアップ工作を含めたキット組立見本の製作工程を、ブログ『牧場通信』で9/13より順次アップしています。参考になさって下さい。 【2018.10.13追記】 ★組立説明書にて、記述等に誤りがありましたので訂正版をアップ致しました。 ・1頁目の一部文面を削除(下画像 赤抹消線部) ・他、『パーツ一覧』の図が印刷時原寸大にならない不具合、裏面キャプション文字欠け等を修正 ※このファイルを印刷される場合、以下画像のように、用紙A4で『カスタム倍率:100%』に設定すると、1頁目の三面図およびパーツ一覧図が実物の原寸大で出力されます。 【お願い】 以前の発売品も含め、軽便祭記念エッチング板製品に関するお問い合わせは メールにて発売元の軽便鉄道模型祭事務局宛にお願い致します。 アドレス: keibenfes●gmail.com (お手数ですが、●を半角アットマークに置き換えて下さい) 設計製造元(アルモデル)への問い合わせはご遠慮下さい。
by maruk-fes
| 2018-09-26 02:21
| 記念製品(エッチング板)
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